入山線沿線

IRIYAMA LINE

国宝白水阿弥陀堂の前を走る 専用鉄道入山線沿線

明治30年(1897年)2月に日本鉄道(株)海岸線(現JR常磐線)が平町まで開通したことに伴い、入山採炭(株)は石炭の輸送のため、同年11月に白水川上流の高倉坑から綴駅(現JR内郷駅)に至る4.02kmの専用鉄道入山線を敷設しました。
入山線沿線には数多くの炭鉱の跡や国宝白水阿弥陀堂があります。
JR内郷駅から旧専用鉄道に沿ってご案内します。

  • 産業遺跡

    赤レンガの煙突とズリ山

    明治42年(1909年)5月、当時の三星炭礦㈱が「煙突は高ければ燃焼効率が良い」と赤レンガを積み重ね、山頂に煙突を構築した。
    当時の記録によると、直立168尺(約51m)、中径8尺5寸(約2.5m)、汽缶場からの煙による煙害を防ぐため、赤レンガの煙道を通じて山上へ誘導し、山の上の赤レンガの煙突から排煙した。
    その後、三星炭礦㈱を買収した磐城炭礦㈱~常磐炭礦㈱が「綴坑」を開発したことによりズリ山が形成され、炭鉱が閉山した現在でも煙突・ズリ山の両方を見ることができる。
    すぐ近くを通る常磐線と相まって、この三カ所は内郷炭礦遺構のシンボル的存在となっている。

  • 産業遺跡

    ㈱常磐製作所(旧磐城炭礦綴坑)

    ㈱常磐製作所は明治30年(1897年)、磐城炭礦㈱の湯本工場として常磐湯本町で発足した。
    その後大正7年(1918年)に現在地に移転。当時は綴製作所と称した。この間、一貫して磐城炭礦㈱~常磐炭礦㈱近代化のための坑内外機械製造・修理を担った。
    昭和38年(1963年)に常磐炭礦㈱より分離独立し、MRモーターなどを主に独自の道を歩む。
    構内には旧三星炭礦㈱・常磐炭礦㈱の坑口等が残り、炭鉱の歴史を今に残す。

  • 産業遺跡

    ガソリンカーの車庫

    常磐炭礦㈱は、昭和20年代から湯本地区への坑口集約化を図ったことに伴い、白水炭鉱住宅からの通勤が遠くなったことから、気動車(ガソリンカー)を購入し運行した。昭和27年(1952年)に運行を開始し、昭和30年代半ばまで運行した。
    現在も残る当時の車庫は㈱常磐製作所の倉庫として利用されている。

  • 神社・寺

    国宝白水阿弥陀堂

    永暦元年(1160年)、国主岩城則道(いわきのりみち)の妻徳尼(とくあま)が夫の供養のために建立したと伝わる。
    建物は三方が山に囲まれた静かな地に南に面し、屋根の曲線美を持つ建物は昭和27年(1952年)に国宝に指定された。また、復元された白水阿弥陀堂境域は美しい浄土式庭園で、昭和41年(1966年)に国の史跡に指定された。
    現在も「福島県内唯一の国宝建造物」としてその名を馳せているほか、堂内の須弥壇には本尊阿弥陀如来、脇侍の観世音、勢至菩薩の立像、持国天、多聞天の立像が安置されており、いずれも国の重要文化財に指定されている。

  • 神社・寺

    常盤(ときわ)神社

    祭神は白水阿弥陀堂創建の徳尼(とくあま)御前。
    社殿は阿弥陀堂の東側にあったが、明治16年(1883年)、白水町広畑93番地に遷座。
    宝物である鉄製懸仏(かけぼとけ)は昭和43年(1968年)に市の有形文化財に指定された。

  • 神社・寺

    願成寺(がんじょうじ)

    国宝白水阿弥陀堂を管理する寺である。
    草創・開山の史実を知る資料は無いが、「白水寺」がその由来とされ、永暦元年(1160年)、国主岩城則道の妻徳尼が夫の供養のため、時の白水寺住職智徳和尚に帰依し阿弥陀堂を建立した際、菩提山無量寿院願成寺と改号したと伝わる。

  • 神社・寺

    つるし観音 (吊し(つるし)の観音)

    白水川に沿って突出した岸壁の中腹に、徳尼(とくあま)御前の持仏を祀る観音堂がある。別名「ツルカケ観音」。
    磐城三十三観音の第四番札所。御詠歌は「白水の みなかみすめる 観世音 岩間をつたう長谷(ながたに)の寺」

  • 産業遺跡

    不動山トンネル

    現在は「市道白水高野線」を通るトンネルとなっているが、かつてはこの地を走った専用鉄道高倉線のトンネルとして明治30年(1897年)11月に開通した。
    川端康成の小説【雪国】に、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という有名な冒頭の描写があるが、このトンネルも出入口の両側で風景がガラッと変わるという状況を見ることができた。
    現在もJR内郷駅方面から西へ向かいこのトンネルを過ぎると、かつて炭鉱で賑わいを見せた独特の雰囲気を醸しだす風景を見ることができる。

  • その他見どころ

    片寄平蔵頌徳碑

    片寄平蔵は文化10年(1813年)、笠間藩領磐前郡大森村(現在のいわき市四倉町)で生まれた。
    叔父にあたる材木商利兵衛の養子となり、奥州一円にわたり取引をするようになる。
    安政元年(1853年)、江戸の取引先である明石屋治右衛門から「黒船」の燃料となる石炭について教えられ、故郷で石炭を求めることとなる。
    安政3年(1856年)、親友である高崎今蔵とともに白水川に面した弥勒沢で石炭の露頭を発見。常磐炭田の開発に大きな貢献をなした。
    昭和30年(1955年)、白水阿弥陀堂地内に「頌徳碑」を建立。その後、石炭発見地である弥勒沢入口に移設された。

  • その他見どころ

    加納作平翁碑

    加納作平は天保元年(1830年)、泉藩領内の菊多郡滝尻村(現在のいわき市泉町)で生まれた。
    17歳で入婿し長男が生まれた後、加納作次郎の養子となり、石炭業に貢献。
    明治4年(1871年)、小名浜港でロシア船に石炭を販売したことから諸方にその名を知られるようになり、さらに西南戦争による九州炭の不足で作平の売炭業は隆盛となり、一時は内郷を中心として十六坑口を経営するほどに繁栄した。
    明治25年(1892年)没。明治33年(1900年)に白水炭山有志一同が記念碑を建立した。
    碑は転々と場所を変えたが、平成4年(1992年)に現在地に落ち着いた。

  • その他見どころ

    石炭の発見地

    現在の内郷白水町広畑地内。片寄平蔵と高崎今蔵が安政3年(1856年)ここで石炭を発見した。
    現在でも石炭の露頭を手近に見ることができる。
    いわき市の近代産業生誕の地とも言うべき場所であり、本市の近代史を語るうえで欠かせない場所となっている。

  • その他見どころ

    みろく沢炭鉱資料館

    市道弥勒沢線の終端に位置する、個人所有の炭鉱資料館。 平成30年(2018年)に開館30周年を迎えた。 館主の渡辺為雄氏(大正15年(1926年)生まれ)が長年かけて収集した資料を無料で展示しており、年間を通していつでも館内を見学することができる。
  • 産業遺跡

    石炭積込場(万石)跡及び三坑下橋

    現在の「みろく沢炭鉱資料館」入口、常磐交通バス停「上入山」付近に位置する。
    内郷駅から西へ向かい、不動山トンネルを抜けてすぐ右手に大きな石炭積込場(万石)が存在した。
    また、このあたり一帯を「入山三坑(第三坑)」と呼び、白水川に架けられた橋を「三坑下橋」と呼んだ。
    川を挟んだ石炭積込場(万石)の対岸付近はかつて「入山銀座」と呼ばれ、多くの賑わいを見せたと言われているが、現在はその面影は無い。

  • その他見どころ

    旧白水小学校

    入山採炭(株)は京都・東本願寺の協力を得て、炭鉱労働者の子どもたちのための私塾「智徳学館」を明治31年(1898年)に設立した。これが白水小学校の前身である。
    昭和30年代には800人近くの児童が在籍したが、炭鉱閉山により児童数が激減し、平成の終わり頃には全校児童数数名という状態が続き、平成31年(2019年)3月多くの人に惜しまれつつ閉校となった。
    白水小学校の対岸には白水炭磺(のち王城炭礦)の坑口があり、学校の南に東西に伸びている道路は石炭専用鉄道の跡で、校庭の南半分は石炭積込場(万石)であった。

  • 産業遺跡

    川平坑跡

    入山採炭(株)により開削され、「入山八尺炭」と呼ばれた優良炭を産出し、入山第二坑と呼ばれた竪坑があった。現在の常磐交通バス停「川平」付近にあったが、跡地はズリで埋められ昔の面影はない。
    昔の写真は明治30年代後期の頃の選炭場であるが、坑内の各採炭切羽が多くなると、出炭率も向上し、後にはこの選炭場も大きく拡張された。
    石炭積込場の奥には、高倉山が厳めしい姿で岩肌をあらわにしている。

  • 産業遺跡

    高倉坑下

    高倉坑は入山採炭(株)が内郷地区で最初に手掛けた炭坑で、入山第一坑の別名がある。明治28年(1895年)から明治42年(1909年)まで稼働し、施設は市道白水・高野線が常磐自動車道の下で交差するあたりの位置にあった。
    石炭の加背(かせ:炭層の高さを示す用語)が6尺(1.81メートル)あったことから、別名「六尺坑」と呼ばれていた。
    川の近くに堅坑があり、川の真下に当たる場所にも採掘個所や坑道も延びていたことから、たびたび坑内出水に悩まされた。

  • おみやげ

    ふくみや

    JR内郷駅から徒歩5分の旧・国道6号(現・県道20号線)沿いにある老舗和菓子店。
    いつ行っても、店内はお客さんで賑わっている。
    あずま(馬方)羊かんが名物だが、豆大福や麩饅頭、どら焼きなどたくさんの和菓子のほか、稲荷寿司や海苔巻き、赤飯なども人気。
    店員さんの対応も親切で、気持ちよく買い物ができるお店。
    0246-26-2007
    営業時間:(通常)8:30~18:00(品物が無くなり次第終了)
    定休日:火曜日(月によって前後する場合あり)

  • 食事

    食亭つるや

    1936年創業。内郷の産業の歴史に欠かせない「炭鉱」全盛の頃から頑張っている食堂。
    震災後、元の店舗より数十メートル離れたJR内郷駅前で仮店舗営業をしていたが、2018年11月に元の旧・国道6号(現・県道20号線)沿いで営業を再開している。
    0120263686
    営業時間:(通常)11:00~15:00、17:00~20:00
    定休日:不定休

  • 食事

    ame Cafe(アムカフェ)

    窓から世界の絶景が楽しめるソフトクリームカフェで、古城をイメージした店内は全16席、若者に人気です。
    丁寧に作られたソフトクリームは6種類・トッピングソース12種類・ソフトを使った独自メニューはアムプリン・アムバスク・アムシェイクが人気です。
    フレンチトーストやシフォンケーキがネットで事前予約でき、テイクアウトにも対応しています。

    0246-38-8501
    https://amecafe.business.site/
    営業時間:11:00~17:00
    定休日:月曜日

  • 食事

    鶴龍(カクリュウ)

    令和1年(2019年)創業、自宅の一角で営業しています。関東方面で修業を続け、四川・広東・上海料理など中華なら何でもこなす。甘辛の味覚は好みに合わせて作ってくれる。夜の営業は予約客のみで、飲み物の持込みも可能です。

    ☎090-4425-0177
    営業時間:(昼)11:00~14:00 (夜予約のみ)17:00~21:00
    定休日:不定休

  • 食事

    本心(中華店)

    令和3年7月に内郷綴町にオープン。中国北京出身のご夫婦で店を切り盛りしています。
    本格的な中華料理を味わっていただきたく、手頃なお値段でランチはもちろん、ディナーも提供しています。
    ご注文時に一声かけていただければ、お客様に合わせて甘さや辛さを調節しています。
    ご予約により、テイクアウトの中華弁当やオードブルもご用意できます。また、小さなグループであれば2階座敷での宴会も可能です。お気軽にご相談ください。

    0246-88-8696
    営業時間:(昼)11:00~14:30 (夜)17:00~21:00
    定休日:水曜日

  • 食事

    佐々木ストアー

    お惣菜・お弁当が美味しくて安い!なんとお弁当は198円から!社長は、地域の人たちにおなかいっぱい食べてほしくて値段を安くしているとのこと。従業員の方々も笑顔で、お弁当を作り販売していました。幸せになれるお店です。
    いわき市内郷白水町上代38-2
    0246-26-3066
    https://www.instagram.com/hirohito_sasaki/
    営業時間:10:00~13:00
    定休日:日曜日

  • 食事

    みっとん

    綴小学校に行く坂の途中にある高台のカフェ。庭にチャイルドスペースとドッグランもあり、見晴らしも抜群です。焼き立てパン屋さんも兼ねているので、おいしいパンと日替わりランチセットは、疲れている人たちにはぴったりの癒しの場所かも。子育てママたち歓迎!
    いわき市内郷綴町秋山61
    0246-38-9589
    営業時間:11:00~14:00
    定休日:月・火・水・日曜日

※お越しの際には公共交通機関のご利用をお願いいたします。
※ルート内で歩きながらのスマートフォン等の使用はご遠慮いただきますようお願いいたします。